第6回:「絶対取れない埋没法」は存在しない――業界の嘘とセールストークを見抜く
みなさん、こんにちは。レアリゼ銀座クリニック院長の磯野です。
「埋没法」と聞けば、もちろん何のことかお分かりですよね。まぶたに糸を通して結び、その糸を組織の中に留めることで二重まぶたにしたり、もともとの二重幅を広げたりすることができる方法です。手術時間は10分ほどで、切開法に比べるとダウンタイムも短いため、広く行われています。
埋没法の「弱点」と正しい理解
埋没法は「糸を通す」というシンプルな方法ゆえ、使用する糸の本数をはじめ、非常に多くのバリエーションがあります。それぞれのやり方はそれぞれの特長を考慮して考え出されたものですが、では特長とはいったい何でしょうか。
ほとんどの場合、それは「取れにくさ」です。
埋没法の弱点として挙げられるのが、取れてしまう場合がある点です。まぶたの組織の中に埋め込んだ糸にズレが生じ、組織を内側から引っ張って二重の折れ込みを作る力が弱くなってしまう状態です。諸説ありますが、10〜10数%の確率で起こるとされており、少なくとも0%になることは絶対にありません。
ただし、一方で必ず取れるものでもありません。
カウンセリングをしていると、「埋没法とはいつかは元に戻ってしまう方法で、それが早めに起きることを『取れる』と言うのだ」と認識している方が非常に多いことに気づかされます。これは明らかな誤解で、80%以上の方は取れずに、ずっと二重のラインが保たれます。
なお、生まれつきの二重と同様に、10年・15年という長い年月を経て皮膚のたるみが覆い被さることで見た目の二重幅が少しずつ狭くなることはあります。ただしその場合は、また埋没法で幅を広げることが可能です。
「絶対取れない」はウソです
どれだけ固定の数を増やしても、糸を複雑に通しても、取れてしまう確率を0%にすることは絶対にできません。
ところが一部の美容クリニックでは、「当院の○○法なら取れません」という完全な嘘をついて、高額な「普通の」埋没法を受けさせようとするところがあるようです。絶対に取れない埋没法など存在しない以上(「必ず取れる」ではない点にご注意ください)、これは明らかに嘘なのです。
また、これとは逆バージョンのセールストークとして、「あなたの目は埋没法では二重にならない」「あなたは埋没法だと絶対取れる」と言われた方もいます。専門家の立場から言わせていただくと、極端に幅広の固定位置を指定するなどよほど特殊なリクエストでない限り、埋没法で二重にならないケースはまず存在しません。
もちろん、埋没法ではあまり良い結果になりにくい場合というのはあります。そういった場合は切開法をお勧めしますが、ご本人が切開法に抵抗を感じるようであれば、不利な条件であることをきちんと説明した上で埋没法で行うべきです。
医療の現場で「絶対」という言葉を使っているクリニックは、その時点で信用に値しません。
「結び目を裏側に」は本当にメリットがあるのか?
少し話が変わりますが、埋没法では糸の結び目があるため、皮膚の上から小さなしこりとして感じられることがあります。これを防ぐという名目で、結び目をまぶたの裏側に作る方法を採用しているクリニックがあります。もちろん、通常のやり方より料金は高くなります。
この方法、実はリスクがあります。将来何も問題が起こらなければ一定のメリットはあるかもしれませんが、例えば糸に感染が起きて抜糸が必要になった際、まぶたの裏側の筋肉の中に埋め込まれた結び目を探し出して抜糸するのはかなりの手間です。
また、私が実際に確認したことがあるのですが、まぶたの裏側に埋め込んだはずの結び目が露出してしまうケースがあります。細い糸が露出する程度であれば問題ないことがほとんどですが、小さいとはいえ丸い結び目が眼球に触れる位置に露出するのは、明らかにリスクとなります。
まとめ:「普通の埋没法」で十分です
埋没法において意味のあるバリエーションとは、せいぜい固定の数や糸のループの数を増やして取れるリスクを抑える程度のものです。それ以上に特別なメリットのある方法など、存在しません。
つまり、埋没法はその全てが「普通の埋没法」であり、特別な埋没法など存在しないのです。薄っぺらいセールストークに惑わされないよう、ぜひ覚えておいていただければと思います。
最後にもう一点。昨今「埋没法は3回までしかできない」という根拠のない話が広まっています。これは、取れてしまった患者さんをより高額な切開法へ誘導するためのセールストークに過ぎません。そのようなことを言われて切開を勧められた方は、そのクリニックでは絶対に何も受けずに、他院へ相談に行かれることを強くお勧めします。