第7回:わきが治療の「限界」と「自己臭恐怖」について、正直にお話しします

皆さん、こんにちは。レアリゼ銀座クリニック院長の磯野です。

当院ではわきが・多汗症治療(手術)を行っておりますが、今回はこの治療について、あまり他のクリニックでは語られないことも含めて、正直にお話しさせていただきます。

そもそも「わきが」に明確な基準はない

実は「わきが(腋臭症)」には、明確な診断基準がありません。においは基本的に数値で表現できないため、客観的で公平な評価が難しいのです。また、腋の下がにおうこと自体が果たして「異常」なのかという問い自体が、「病気」として位置づけることをますます困難にしています。

それでも腋臭症として保険診療が認められているのは、「日常生活に支障を来すレベル」のにおいがあることが条件となっているからです。例えば飲食店の店員さんが強いにおいを発していてお客さんからクレームが入る、といったケースであれば確かに支障が生じていると言えます。ただ現実には、本人が気になっているだけという微妙なケースが保険で治療されている場合も、少なからずあるのではないかと想像しています。

なお、保険で受けられるのは皮膚に3〜4センチの切開を加えて行う「切開法(翻転法)」のみです。

当院が行う「吸引法」とは

当院で実施しているのは吸引法と呼ばれる方法で、4ミリほどの小さな穴から特殊な専用の吸引棒を差し込み、汗腺を吸い出します。ほとんどの場合はこの方法でにおいや汗の症状が改善します。汗が完全に出なくなるわけではありませんが、においは通常しなくなるか、それに近い状態になります。

ただし、どのような方法であっても汗腺をすべて取り切ることはできません。そのため症状が残ることも実際にあります。その場合の再手術は可能ですが、当院では再手術は一回のみと定めています。再手術の効果を過度に期待することは禁物で、あくまで改善できる確率は50%という認識でいていただく必要があります。

においに「過敏」になりすぎている方へ

においは数値化できないだけに、自分のにおいに極端に過敏になってしまう方がまれにいます。複数のクリニックを渡り歩き、手術を何度も繰り返し、客観的にはにおいがなくなっているのに「まだ強くにおう」と思い込んでしまうケースです。

さらにそういった方の中には、街中や電車の中での他人のちょっとした言動・仕草に過敏になってしまう方もいます。隣にいた人がたまたま体の向きを変えただけで「自分が臭いからだ」と思い込んだり、軽い咳払いを自分への当てこすりと感じたり、すれ違った見知らぬ人に「くさい」と言われたと訴えたりするのです。

こういった方にカウンセリングで話をうかがった時、私はこう聞きます。

「もしあなたが逆の立場だった場合、そのように聞こえよがしに何かを言ったり、当てこすりで咳払いをしたりしますか?」

するとこう答えます。「いいえ、私はそんなことはしません」と。

この時点で答えは出ているのですが、それでも「でも、本当に本当にすれ違いざまに言われるんです!」と力説されます。こうなると押し問答をしても仕方ないので、実際に腋の状態を確認させてもらいます。鼻をかなり近づけて嗅いでみるのですが、そういったケースほど全くにおいがしないものです。

その際に私がお伝えするのは次のようなことです。「腋独特のにおいは皮脂を伴ったもので、いわば脂汚れのようなものです。服に付いた脂汚れはいくらゴシゴシ洗っても取れませんよね。本当に強くにおう方はお風呂から出た直後でもにおいます。今こんなに近くで嗅いでも全くにおわないあなたの腋が、ある時だけ急に強力ににおうということはあり得ないのです」と。

それでもおそらく納得はしてもらえません。ただ、本人も黙ってしまいます。

「自己臭恐怖」という状態について

こういった状態は「自己臭恐怖」と呼ばれる神経症、あるいはその手前の状態ではないかと考えています。

以前、特に印象に残った方がいました。自分からかなり離れた場所で女子高生数人が立ち話をしているのを見て「あれは自分のにおいのことを話している」、さらには線路を隔てた向こう側のホームで女の子たちが笑っていると「あれは自分のことを笑っている」と確信されていたのです。

こういった方に対しては、率直に申し上げると美容クリニック的な治療はほとんど意味を成しません。存在しないものがあると確信している方に対して軽率な「治療」を行っても、本人を含めて誰のためにもなりません。そのため、このような方には私は何も行わないことにしています。

治療の効果を信じることも大切

もちろん、ここまでの状態になるケースは極めてまれです。ただ、においは目に見えないだけに、一度治療を受けたならばその効果を信じることも大切だと思います。治療後に効果が十分かどうか不安を感じることはあると思いますが、再手術を過度に繰り返すことは、必ずしもご自身のためになるとは限りません。

わきが・多汗症の治療についてご不安な点がある方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。

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