第9回:子供が「二重にしたい」と言い出したら:年齢別に親が考えること
皆さん、こんにちは。レアリゼ銀座クリニック院長の磯野です。
今回は、お子さんがいる方もそうでない方も、少し想像してみてください。もし自分の子供が「整形で二重にしたい」と言い出したら、あなたならどう対応しますか?
とはいえ、答えはひとつではありませんよね。子供の年齢、アイプチを使っているかどうか、本人の心理状況によって、対応は大きく変わってくるはずです。今回は年齢別に、親としての向き合い方を考えてみたいと思います。
10歳の場合
10歳であれば、毎日アイプチに励むというケースはまだ少ないでしょう。よほど深刻に悩んでいるのでなければ、美容目的での二重手術には慎重になる方が多いと思います。
医療的・生理学的に不可能ということではありません。当院でも、逆さまつ毛の治療であれば10歳のお子さんをお断りすることはありません。ただ美容目的となると、周りのお友達の目もあります。手術を検討するとしても、小学校を卒業して中学に上がるタイミングまで待つよう諭してあげるのがベターでしょう。
中学生の場合――アイプチ問題に要注意
中学生になると、アイプチに手を出し始める頃です。ここで一つ、医療的な観点から強くお伝えしたいことがあります。
アイプチ・アイテープの類は、まぶたの皮膚にとって最大の大敵です。
Y字型の道具で毎日皮膚をグイグイと折り続けると、1mm以下という薄さのまぶたの皮膚は徐々に伸びてきてしまいます。一度伸びた皮膚は、基本的には元に戻りません。
さらに、皮膚が常に密着した状態は慢性的な炎症の原因になります。そこに糊のようなものが挟み込まれれば、たちまち皮膚炎になりかねません。
そしてここからが「深刻な沼」です。まぶたが炎症を起こして赤くなっても、本人はアイプチで二重にしないと外に出られないため、炎症を抱えたまぶたに毎日追い打ちをかけてしまいます。すると皮膚は防御のために表面の角質を厚くしてバリアを張ろうとします。こうなったまぶたは、赤みを帯びた表面が妙にテカテカとして、触るとごわごわとした硬い感触になっています。
この状態まで至ってしまうと、アイプチをやめても赤みは引いても、厚くなった角質が元に戻ることはありません。そして厚く硬くなった皮膚では、埋没法・切開法いずれの手術を受けてもパッチリとしたキレのある二重にはなりません。
そうなってからでは遅いのです。
アイプチを使い始めたら、日頃からまぶたの状態を遠目で確認しましょう。赤みが出てきたようであれば、まずはしばらくアイプチをやめるよう促してください。それで様子を見て改善するなら、当面はその繰り返しでも構いません。しかしどうしてもやめられないのであれば、まぶたへのダメージを防ぐためにも、手術を検討された方が良いでしょう。
高校生の場合
基本的な考え方は中学生と同じです。高校生であればアルバイトができる場合もありますので、親御さんとしてどうしても賛成できないということであれば、「気持ちとしては反対なのでお金は出せない。どうしてもやりたいなら自分でお金を作りなさい」というスタンスもひとつの「中間点」です。
「自分でお金を何とかするなら何も言わない」というだけで、子供にとっては十分に「理解のある親」に映ることでしょう。それで良いと思います。
最後に、一番大切なことをお伝えします
たいていの親御さんにとって、子供が整形を望むことは受け入れがたいことだと思います。悲しい気持ちになる方も少なくないでしょう。美容外科医の私でも、その気持ちは十分に理解できます。
しかしそれは、あくまであなた自身の気持ちの話です。あなたが困惑するのと同じくらい、お子さんも深刻に悩んでいるのかもしれません。
もしその時が来たら、どうか「今のままで十分可愛いのに」とだけは言わないでください。
親から見れば子供の顔は常に可愛いに決まっています。でも子供も一人の人間、あなたとは別の人格です。あなたにとって十分可愛い顔であっても、本人にとってはそうではないことが問題の本質なのです。自分の気持ちをごり押しして問題をなかったことにするのではなく、一緒に問題に向き合ってあげてください。
常に好きなようにさせてあげるということではありません。双方が何とか受け入れられる着地点を、一緒に模索してほしいのです。大人同士が問題を解決しようとするとき、たいていはそうするはずですから。
なお、学校の規則についても当然尊重が必要ですので、その点も踏まえた上でご相談ください。